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阪急阪神リート投信株式会社(大阪府大阪市)

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阪急阪神リート投信株式会社
(大阪府大阪市)

中野さん、木下さん、岡部さん、足立さん 阪急阪神リート投信株式会社は、阪急阪神グループにて2004年に設立。投資運用を主とした金融商品取引業を行っている。
従業員数は、約35名。
今回は、健康経営プロジェクト事務局の足立高志さんを中心に、中野彰久さん、岡部真季さん、木下まりさんからお話を伺った。

社員へのアンケート結果により、ニーズを把握し、ストレスケアやマインドフルネス、減塩まで幅広い内容での外部講師による健康講座を開催するなど、健康に対する興味関心を持ちやすい仕組みを作っている

まず、健康経営の取組みとコミュニケーション活性化策について、お話を伺った。

「当社は、社員数が少ないため、一人でも病欠者が出てしまうと、業務に多大な影響が出てしまいます。そのため、健康に関する一人ひとりの意識を高めることを経営課題の一つとしたいと考えていた矢先に、健康経営のことを知りました。そこで、阪急阪神グループの“阪神阪急Wellnessチャレンジ(カラダの健康・ココロの健康・職場の健康)”をスローガンに、一人ひとりの健康意識の向上と働きやすい職場の実現を推進することを目指して、2019年9月に健康宣言を制定しました。」

【図1】置き野菜サービス 「最初に、“健康経営プロジェクト推進チーム”が中心となって、健康に関するアンケートを全社員に実施しました。その結果、特に、食生活と運動における課題が見えてきたので、そこから活動を始めました。食生活に関しては、社員の野菜不足が目立っていたので、オフィスでバランスのとれた食事ができるよう、“置き野菜”サービスを開始しました(【図1】参照)。具体的には、野菜のお総菜などを会社内に常備して、昼食時に社員が気軽に野菜を摂れる環境を整えたところ、月に約120個の利用がありました。また、年に2回“健康お弁当デー”を設定しました。これは、栄養バランスがよく健康に配慮したお弁当を会社負担で全従業員に配布するというものなのですが、くじ引きで決まったチームで一緒にお弁当を食べることにしており、健康面だけでなく、部門を超えたコミュニケーションづくりにもつながったと考えています。」

【図2】みんなdeラジオ体操 「運動面に関しては、“みんなdeラジオ体操”という、業務時間内に気軽に運動する習慣をつくりました(【図2】参照)。1日2回、NHKの“みんなの体操”が放送される時間に合わせて、コラボレーションスペースを開放して従業員皆で体操を行っています。参加は任意ですが、多数の社員が仕事に区切りをつけて体操をしています。コロナ禍では、出社している者は複数の部屋に分かれて行っており、在宅勤務者もオンライン(Zoom)で参加しているので、体操を通じて皆がつながっているように感じています。」

「2019年度には、“毎週健康プチセミナー”と称して、週1回の全体ミーティング時に、社員自らが調べたストレッチ方法などのセルフケアを順番に紹介する機会をつくりました。会社に置いているセルフケアの本を参考にしたり、自ら調べた情報をクイズ形式で紹介したりと、従業員一人ひとりが工夫を凝らしていていたので、共有された情報にも興味を持ちやすく、健康に対する意識も高まったのではないかと思います。また、2020年度には、協会けんぽなどの外部講師による健康講座を実施しました(【図3】参照)。ストレスケアやマインドフルネス、減塩まで、幅広い内容で行っていただきました。共有のスケジューラを確認して、可能な限り社員全員が空いている日時を選んだところ、ほぼ全ての社員が参加しました。」

【図3】健康講座 「その他、コミュケーション活性化策の一環として、“物件見学ツアー”を実施しています。少人数のグループに分かれて、業務時間内の半日間、商業施設等の物件見学に行き、現地でのランチやお茶を通じて交流を深めることを目的としています。飲食代(1人1000円まで)や交通費は、会社が負担しています。グループ分けは推進チームで行うので、部署横断的なメンバーとなり、日頃話をすることが無かった社員同士の交流を深めることになっているようです。」

「このように、“食・運動・コミュニケーション”の3つの観点から、推進チームを中心に社員自らが企画した様々な取組みを通じて健康経営を推進しています。また、これらの活動の効果や要望を把握するために定期的にアンケートを実施しており、概ね社員の満足度は高くなっています。心と体の健康保持・増進の取組みは、将来的に収益性等を高める投資であると考え、社員の多様な個性や能力を最大限に発揮できる健康な職場づくりに努め、ひき続き様々な施策を進めていきます。」

フレックスタイム制度の導入や勤務間インターバル制度など、社員一人ひとりの生活に合わせた働き方を可能とすることで、過重労働防止はもちろん、従業員満足にもつながっている

次に、テレワークやフレックスタイム制度などの新しい働き方や、過重労働・メンタルヘルス対策の取組みについて、お話を伺った。

「2019年8月から、働き方改革やワークライフバランス推進の一環として、フレックスタイム制度を導入しました。7時~22時の間の好きな時間に勤務することが可能なので、従業員一人ひとりが自分のライフスタイルに合わせて、日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることができます。効率的に働くことで、生産性向上につながることも期待しています。また、勤務間インターバル制度を導入しました。当社は、退勤時間から次の出勤時間までに11時間のインターバルを設けることにしており、睡眠時間の確保と長時間労働の予防につなげています。さらに、フレックスタイム制度の導入に併せて、業務用パソコンを高性能ノートブック機に置き換え、社内無線LANを整備した結果、場所と時間の自由度が高まり、生産性の向上と会議等のペーパーレス化を実現することもできました。」

「2020年7月にはテレワーク制度を本格的に導入しました。テレワークがスムーズにできるよう、高性能ノートブック機と携帯電話を社員に貸与し、週2回までテレワークを可能としました。セキュアリモートアクセスのサービスも導入し、社外からの安全なアクセスを可能としたことで、Web会議システムも全社員が利用できるようになりました。また、テレワーク下でも上司と部下とのコミュニケーションをしっかりとるため、1~2週間に1回は、仕事の進捗状況などの確認を対面で行っています。」

「30~40代の子育て世代の社員は、こうした制度を活用して、勤務の時間と場所を調整しながら仕事ができることに満足してもらえているようです。残業時間の調整も可能ですし、その分、別の日は早めに仕事を終えることも可能です。実際、テレワーク制度を導入した2020年7月以降は、社員全体の残業時間は減り、1ヶ月で40時間を超える人はほぼいなくなりました。」

「採用に関しては、仕事の内容が大変そう、過重労働になりそう、など金融機関のイメージから応募者が不安を感じられることが以前はよくありましたが、“健康経営優良法人2021(中小規模法人部門ブライト500)”の認定や、大阪府健康づくりアワードスピンオフ企画“職場で健活10大賞”の特別賞をいただいたことで、今では社員の健康を考えている会社だと認識してもらえているようです。」

「『人も街も末永く元気に!』をモットーに、これからもコミュニケーションを絶やすことなく、心身ともに生き活きと働くことができる職場環境づくりを進めてまいります。」

【ポイント】

  • ①社員へのアンケート結果により、ストレスケアやマインドフルネス、減塩まで幅広い内容での外部講師による健康講座を開催するなど、健康に対する興味関心を持ちやすい仕組みを作っている
  • ②業務時間内に社員皆で気軽に運動できる習慣をつくることで、運動不足解消につなげるだけでなく、社員同士のつながっている感覚も生み出すことができる。
  • ③フレックスタイム制度の導入や勤務間インターバル制度など、社員一人ひとりの生活に合わせた働き方を可能とすることで、過重労働防止だけでなく、従業員満足につなげることができる。

【取材協力】阪急阪神リート投信株式会社
(2021年10月掲載)